フォトリーディングはお好きですか? トマベチ先生はお好きですか?
フォトリーディングという技術(とでも言えばいいんですかね)があります。
”文字の情報を、画像として処理することによって、普通に読むより圧倒的な速さで理解することができる”みたいなものですよね。けっこう有名だと思うんで、フォトリーディングの名前ぐらいは聞いたことがあるという方が多いんじゃないでしょうか。本もいくつか出てますね。
たいていの人は「そんなことできるのか?」という疑いの念を持つでしょうが、日本だと勝間和代さんとか神田昌典さんとかのいわゆるビジネス書界隈の有名どころが推薦してたり、実際にインストラクターしてたりするので、「出来るのかもしれない」という気もしてきます。
じつは、かくいう私もずいぶん昔に、「10倍速く本が読める」という文句にひっかかって、そのフォトリーディングについての本を買って読んだんですよね。
- 作者: ポール R.シーリィ,神田昌典,井上久美
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2009/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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※これは新版
読みましたけど、正直、私にはクソの役にも立ちませんでした。
「文字の情報を、画像として処理」というのにどうにも納得がいかなかったし(画像として処理するなら、どのページにも黒いちっちゃな図形がびっしり並んでるというだけの情報じゃないの?)、リラックスしろだのアファメーションしろだの本を理解するという目的に直接関係のない前置き指示も多くて、実践してみる気にもなりませんでした。
そのことを踏まえていま私は思うのですけども、「公然詐欺」みたいなビジネスって成り立つよな~と。
つまり、できるのかできないのか(あるのかないのか)誰にもはっきりとわからない事柄にたいして、できそうっぽい(ありそうっぽい)こじつけさえ並べられれば商品として通用するということです。
言ってる本人たちも、本当はできるとは思っていなくても、こじつけさえうまくやれば誰にもはっきりとは否定ができない公然の詐欺がやってのけられる。
フォトリーディングの似たような例としてあげられるのが、多すぎる肩書きも苗字の読み方もなんだかよくわからないドクターの本とかですね。
「人間の脳の9割は通常使われてないままだからそれを目覚めさせれば~」みたいな文句をつけとけば、なんでもできるようにしてしまえます。まああの人は出してる本が多すぎて、ぜんぶがぜんぶそんな内容ということもないでしょうけど。
他にも、言ってみれば霊感商法とかもその類いですよね。もっと言えば宗教自体がそういう目的でもって興され運営されている可能性を持っている。
「はっきりわからないもの」に対しての自分の見る目をちゃんと養っとかないといけませんね。なんでも言われたままに流されてはいけない。
なお、この記事で具体的に挙げてしまったものらに「詐欺だ」というつもりも根拠もありません。なんせ、だれにもはっきりとわからないところにこそミソがあるわけですからね。
ちなみに、フォトリーディングについては、wikiの「速読術」の項目の末尾にこうあります。
ポール・シーリイによって提唱された速読法で、一分間に25,000文字を読解することが可能だとされている。2001年にフォレスト出版から発売された『あなたもいままでの10倍速く本が読める』により日本に広まった。しかしオールド・ドミニオン大学心理学部教授のダニエル・マクナマラ博士は、NASAに提出した論文で以下のようにその効果を疑問視している。
「これらの実験は、フォトリーディングに効果がないことを明確に示した。フォトリーディングを実践する人々が主張するような高い読解速度は観察されなかったし、実際、その読解速度は通常の読書方法のものと概ね同じものであった。さらに、フォトリーディングの熟練者がフォトリーディングのテクニックを使った場合、通常の読書方法と比べて読解時間の増加が見られた。この増加は、テキストの内容把握の低下を伴ったものだった。」
このフォトリーディングを提唱したポール・シーリイは、のちに「パームリーディング」なるものも提唱しているようです。本に手をかざしたら本から出ているエネルギーによってだいたいの内容がわかるようになるんですって。